Pediatrics
Eating Frequency and Overweight and Obesity in Children and Adolescents: A Meta-analysis

Date:Apr8 2013

食事の回数が、小児および青年の体重に及ぼす影響を決定する。
このメタ解析では、2011年10月までに発行されたオリジナル観察研究が、PubMedデータベースでの文献検索を通じて選択された。更に、検索された記事の参照リストから関連記事を識別した。必要に応じて研究者に問い合わせた。選択された研究は英語で出版され、食事回数が小児および青年における過体重/肥満に及ぼす影響を報告したものである。プールされた効果の大きさは、ランダム効果モデルを用いて計算した。
18849名(2-19歳)を対象とした10件のクロスセクション研究とⅠ件の症例対照研究(サブスタディ合計21件)が分析に含まれる。
それらの複合効果は、食事回数の最も多いカテゴリーが、最も少ないカテゴリーに比し、青少年の体重に関する有益な効果と関連していることを明らかにした(オッズ比OR = 0.78, log OR = –0.24, 95%信頼区間 –0.41から–0.06)。
観察された有益な効果は、男子では有意であったが(OR = 0.76, log OR = –0.27, 95% CI –0.47 to –0.06)、 but not in girls (OR = 0.96, log OR = –0.04, 95% CI –0.40 to 0.32) (P for sex differences = 0.14).はなく、女子では有意でなかった(OR = 0.96, log OR = –0.04, 95% CI –0.40 to 0.32) (性差P = 0.14).

日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言
糖尿病における食事療法の現状と課題

Date:March 2013 / 日本糖尿病学会

(はじめに)

現在の我が国における 2 型糖尿病の増加は、インスリン分泌能の低下をきたしやすい体質的素因の上に、内臓脂肪蓄積型肥満によるインスリン抵抗性状態が加わったことに起因するところが大きいと言われている。その原因は、戦後の我が国における生活習慣の変化、身体活動度の低下に加え、特に脂質を中心とする栄養摂取のバランスの崩れにあると考えられている。2 型糖尿病の予防と治療には、生活習慣の是正が第一義的な意味を有する。日本糖尿病学会は当初から食事療法を重視し、その実効性を高める目的で糖尿病食事療法のための食品交換表(食品交換表)の策定に早くから取り組み、今日まで改訂を重ねてきた。一方で、食に対する価値観や食品・食習慣・食環境は、日々多様化してきており、食事指導においても、より柔軟に患者の病態や嗜好性などに対応することが必要となってきている。また、日本人の 2 型糖尿病の病態が大きく変貌しつつあることも鑑み、適正な栄養素摂取の在り方とその指導法について、継続的に検討を加えていかなければならない。最近では、炭水化物について、血糖に対する直接的な影響ばかりでなく、肥満の是正に対する効果などからその摂取量に関心が高まっているが、各栄養素の意義はエネルギー代謝に関する包括的な視野に立って評価すべきであり、決して個々の栄養素に限定して論じることはできない。インスリン作用不足を主病態とする糖尿病にあっては、その治療的意義はより慎重に論議されなければならない。かかる認識に立って本学会は、我が国及び各国の栄養素摂取量の現状も踏まえて、糖尿病における食事療法の在り方について、提言を行うものである。

1. 我が国の一般人口における栄養素摂取量の現況

日本人の総エネルギーと各栄養素の摂取量は、戦後大きく変化してきた。2 型糖尿病の有病率には経済成長に伴う諸種の要因が関与しているが、食習慣の変貌が日本人の肥満を増加させ、その結果、糖尿病患者の増加に至っていることは論を待たない。国民健康・栄養調査によれば、1960 年代に比較して、日本人の総エネルギー摂取量は、次第に減少に転じており、2010 年の調査では、平均 1840kcal とされている。一方、三大栄養素の摂取量をみると、炭水化物の摂取量は減少し、脂質の摂取量が増加し、2010 年の調査では炭水化物と脂質のエネルギー比率はそれぞれ 59.4%、25.9%とされている( 1 )。また、食塩摂取量は減少し、2010 年には平均 10.6g/日となっている。この他、食物繊維摂取量の低下などが指摘できるが、際立った特徴は脂質摂取量の増加である。脂質栄養の変化が疾患動態に密接に関係することは、沖縄県の事例に顕著に現れている。沖縄県は従来、我が国の最長寿県とされてきたが、生活環境の欧米化に伴ってその地位を落とした。その主たる原因は心血管疾患の増加にあるが、この間に肥満者の割合は全国でトップとなった。平成 18 年の調査で栄養摂取状況を全国平均と比較すると、総エネルギー摂取量には差はないが、脂肪エネルギー比率が25%以上の者の割合は男女ともに 60%を越えており、全国平均の 40~50%をはるかに上回っている( 2 )。この間の交通手段の発達などによる身体活動の低下に加えて、このような脂質栄養の過剰摂取が日本人における肥満そして糖尿病の増加に大きく関与しているのではないかと考えられており、糖尿病の予防の観点からも対処すべき大きな栄養学的課題となっ ている。

健康な個人または集団を対象として、国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的とし、総エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示したものが、「日本人の食事摂取基準(2010 年度版)」である( 3 )。推定エネルギー必要量を基礎代謝量 kcal/日×身体活動レベルとし、炭水化物摂取量は概ね 50~70%エネルギー未満を推奨している。また、この食事摂取基準では健常人の消化性炭水化物の最低必要量はその基礎代謝量の 20%とし、およそ100 g/日と推計している。たんぱく質摂取量については推定平均必要量を 0.72g/kg/日とし、明確な上限の設定はないが、2.0g/kg 体重/日未満に留めることが適当であるとしている。脂質摂取量は 30 歳以上では 25%エネルギーを上限としている。これらの健常人に対する基準は、我が国のデータや海外の文献に基づいて算出されており、コンセンサスとしての社会的価値も高い。しかしながら、疾病を有する個人または集団に対して、必ずしもそのままあてはめてよいとは言えない。

2. 糖尿病における栄養摂取指針に関する現況

1)2 型糖尿病における食事療法の意義

2 型糖尿病における食事療法は、総エネルギー摂取量の適正化によって肥満を解消し、インスリン作用からみた需要と供給のバランスを円滑にし、高血糖のみならず糖尿病の種々の病態を是正することを目的としている。インスリンの作用は糖代謝のみならず、脂質ならびに蛋白質代謝など多岐に及んでおり、これらは相互に密接な連関をもつことから、食事療法を実践するにあたっては、個々の病態に合わせ、高血糖のみならず、あらゆる側面からその妥当性が検証されなければならない。さらに、長期にわたる継続を可能にするためには、安全性とともに我が国の食文化あるいは患者の嗜好性に対する配慮が必須である。諸外国においても、生活習慣の介入による肥満の是正を重要視し、そのために総エネルギーを調整し、合併症に対する配慮の上で三大栄養素のバランスを図ることが推奨されている。しかし、各栄養素についての推定必要量の規定はあっても、相互の関係に基づく適正比率を一意に定めるに十分なエビデンスに乏しい。このため、三大栄養素のバランスの目安は健常人の平均摂取量に基づいているのが現状であるが、糖尿病では動脈硬化性疾患や糖尿病腎症など種々の臓器障害を合併することから、予防のためのそれぞれの食事療法が設定されており、その中で栄養素摂取比率を勘案することが求められている。

2)栄養素摂取比率について

諸外国における 2 型糖尿病の推奨栄養素摂取比率(%エネルギー)の目安は、以前には、概ね炭水化物 45~60%、脂質 25~35%、たんぱく質 10~20%とされることが多く、メタ解析により炭水化物 55%以上、脂質 30%未満、たんぱく質 12~16%を推奨値とする報告もある( 4 )。一方、最近では、炭水化物の最低必要量のみを定めるものや、特に一定の数値を示さないガイドラインも見られるようになってきている ( 5, 6 )。欧米と比較して脂質摂取量の少ない我が国では、従来から脂肪エネルギー比率の上限として 25%を採用することが一般的であり、動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2012 年度版は 20~25%にすべきであるとしている( 7 )。この値は、我が国の実情にほぼ即しているといえるが、動物性脂肪に比して植物性脂肪を増加させた場合の総脂質摂取量の上限などについては、さらに検討の余地がある。日本糖尿病学会による糖尿病治療ガイドでは、たんぱく質を標準体重 1kg 当たり 1.0~1.2 g (50~80 g/日)とするよう指示している( 8 )。摂取比率としては 20%以下になり、諸外国の推奨値とほぼ一致している。たんぱく質の上限設定については従来、腎臓への負荷が懸念されている。腎障害がない場合、たんぱく質の過剰摂取が腎症発症のリスクになるとする明確なエビデンスはないが、たんぱく質摂取量と心血管疾患発症率との間に相関があるとする報告がある( 9 )。米国糖尿病学会は、糖尿病におけるたんぱく質の摂取比率は20%以下にすべきであるとし、その根拠として、合併症に対する長期的な影響が確認されていないことをあげている( 10 )。

このようにみると、糖尿病に推奨される炭水化物の摂取比率は、脂質ならびにたんぱく質の推奨摂取比率からも制約を受け、50~60%と計算される。実際にその値は日本人の一般的な栄養素摂取比率に合致することから、嗜好性あるいは遵守性を担保すると理解されてきたと言えよう。社会的なコンセンサスを得る点においても、これは妥当と言える。しかしながら、日本人の糖尿病の病態の変化や今日の食に対する価値観の多様性を踏まえて、我が国における新たなエビデンスを構築していかなければならない。

3. 糖尿病治療における炭水化物制限の意義と課題

2 型糖尿病の治療には、体重の適正化が第一義的な意味をもつ。肥満者の減量を目的とした食事療法について、主として脂質を制限すべきか炭水化物を制限すべきか、欧米では歴史的に長い論議がある。これは、炭水化物摂取量を 50g/日以下とするアトキンスダイエットの是非論に象徴されているが、2003 年の Foster らの報告( 11 )、2004 年の Stern らの報告( 12 )は、国際的な一流誌に掲載されたことから注目を浴びた。両研究ともに、BMI30 以上の肥満者に 50~60g/日を目指す炭水化物制限を指導し、エネルギーを自由に摂取させたところ、総エネルギー制限と脂質制限を指導した群より 6 ヵ月目で有意な体重減少をきたしたとしている。

しかし、2006 年に報告されたメタ解析は、低炭水化物食は 6 ヵ月までに有意な体重減少をもたらすが、1 年で両群に差はなくなり、低炭水化物食では血中 LDL コレステロールの増加をきたすと指摘している( 13 )。低炭水化物食の長期効果を見出し得なかった理由として、症例数の少なさと 30~50%におよぶ高い脱落率をあげている。また、炭水化物のみを制限し、エネルギーを自由に摂取させたとしている研究の多くは、総エネルギー摂取量に関する記載に乏しいことに留意する必要がある。実際、Stern らの報告( 12 )では総エネル ギー摂取量が低下しており、「総エネルギー摂取量は過剰であっても、炭水化物さえ制限すれば減量効果がある」という解釈は短絡的である。また、いずれの研究も観察期間が短く、脱落例が多いため、intention-to-treat 解析による有意差の検出は困難となっている。血中脂質異常については、その後悪影響はないとする報告も出されている。しかし、全例、血清クレアチニンの上昇例は除外しているので、腎機能障害例についての有効性・安全性は確認されていない。さらに、炭水化物を制限することによって起きる、たんぱく質あるいは脂質摂取増加の影響が調整されていない。これらの点は、食事療法研究に一般的に内在する課題でもある。

2008 年に報告された DIRECT 研究では、低脂肪食、低炭水化物食そして地中海食の体重減量効果を 2 年間にわたって追跡している。低炭水化物食においては、炭水化物摂取量が最大 120g/日以下になるよう段階的に指導し、実際の炭水化物の摂取比率は 40%エネルギー強と従来の研究に比較して緩やかで、脱落率も 20%を下回っている。本研究では 2 年間を通し、低脂肪食に比較して地中海食と低炭水化物食では減量効果が優っていたとし、両群では血中脂質やインスリン抵抗性が改善したとしている( 14 )。本研究は最近、その後 4年間の観察をまとめ、研究終了後にそのままの食事療法を維持したものでは、研究終了時の傾向が残っていたと報じている( 15 )。

2012 年に Diabetes Care 誌に掲載された systematic review は、2001 年から 2010 年にかけて発表された炭水化物摂取量と血糖ならびに心血管疾患発症リスクに関する研究を網羅している( 16 )。本論文では、これまでの研究には多くの交絡因子があり、特定の栄養素の糖尿病状態に及ぼす影響を見出すことは困難であることを指摘している。その中で、炭水化物の摂取量を 70g/日以下もしくは摂取比率を 40%エネルギー以下とした制限食に関する研究の要約として、炭水化物制限が高血糖ならびにインスリン感受性の改善をもたらすとしながらも、いずれも症例数と観察期間が不十分であって脱落率が高く、無作為化されていない研究もあることなど、エビデンスとしての質的な問題点を指摘している。また、炭水化物の摂取比率を 40~65%ないしは 65%以上とした食事療法に関する研究の要約として、観察期間や他の栄養素の摂取比率が多様であり、炭水化物の摂取比率がもたらす HbA1cの変化は一致していないことを指摘している。能登らは最近、炭水化物摂取量と心血管疾患のリスクならびに死亡率との関係について従来の研究のメタ解析を行い、低炭水化物食では心血管疾患のリスクは低減せず、総死亡率は有意に増加したと報告している( 17 )。そして、英国糖尿病学会の 2011 年のガイドラインは、2 型糖尿病における血糖ならびに体重の是正における炭水化物制限の意義につき、最近これを支持する報告があることを認めながらも、長期的な効果と安全性についてのエビデンスのないことに注意を喚起している( 5 )。米国糖尿病学会による 2013 年の statement は、肥満者の減量を図るためには、低炭水化物食、低脂肪食あるいは地中海食は、短期間(2 年間まで)では有効であるかもしれないとしている( 6 )。但し、最適の栄養素摂取比率は病態によって異なり、栄養素摂取比率に関わらず、総エネルギー摂取量の適正化を優先すべきであると述べている。

4. 糖尿病における食事療法の在り方と課題

以上の現状認識を踏まえ、以下を提言としてまとめる。

1)糖尿病における炭水化物摂取について

肥満の是正は、糖尿病の予防ならびに治療において重要な意義を有する。体重の適正化を図るためには、運動療法とともに積極的な食事療法を指導すべきであり、総エネルギー摂取量の制限を最優先とする。総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは、その本来の効果のみならず、長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、現時点では薦められない。特に、インスリン作用が著しく不足した状態において想定される、体たんぱく異化亢進などの栄養学的問題は、これを避けなければならない。一方で、先に述べたように、体重を効果的に減量させるための一つの手段として炭水化物摂取量について論議がなされている。しかし、欧米の研究においては対象となる BMI は 30~35 以上のことが多く、肥満度の異なる日本人の糖尿病の病態に立脚した適正な炭水化物摂取量については、いまだ十分なエビデンスが揃っているとは言えない。社会的なコンセンサスを得る上においても、今後日本糖尿病学会として積極的に調査・研究の対象とすべき課題である。

2)栄養素摂取比率について

糖尿病における三大栄養素の推奨摂取比率は、一般的には、炭水化物 50~60%エネルギー( 150g/日以上 )、たんぱく質 20%エネルギー以下を目安とし、残りを脂質とする。この炭水化物の推奨摂取比率は、現在の日本人の平均摂取比率がこの範囲にあり、他の栄養素との関係からも妥当と考えられるが、糖尿病腎症などの合併症の有無や他の栄養素の摂取比率・総エネルギー摂取量との関係の中で、炭水化物の摂取比率を増減させることを考慮しても良い。例えば、身体活動量が多い場合には、炭水化物の摂取比率を 60%エネルギー以上に高めることも考慮されるが、食後高血糖や単純糖質の過剰摂取などには十分な注意が必要である。一方、腎障害や脂質異常症の有無に留意して、たんぱく質、脂質の摂取量を勘案し、大きな齟齬がなければ、患者の嗜好性や病態に応じて炭水化物の摂取比率が 50%エネルギーを下回ることもありうる。また、脂質摂取量の変化とともに糖尿病が増加していること、糖尿病が心血管疾患の大きな危険因子であることから、脂質摂取比率の上限は可能な限り 25%エネルギーとするが、n-3 系多価不飽和脂肪酸の摂取量を増やし、トランス脂肪酸の摂取を抑えるなど、脂肪酸構成にも十分な配慮が必要であり、その場合の総脂質摂取量については検討を要する。たんぱく質については、糖尿病患者の高齢化に伴い、潜在的な腎障害の合併例が増していることに留意し、CKD にあってはその指針に従う( 18 )。また、炭水化物摂取量の多寡によらず、食物繊維は 20g/日以上の摂取を促す。食塩制限は、高血圧合併例では 6g/日未満とする。これらの基準は 2 型糖尿病を対象としたものであって、1 型糖尿病では病態に合わせて別個に検討を要する。

(結語)

生活習慣病の食事療法を論じるに際しては、日本人の身体活動度の変化と、食生活の変容を総合的に考慮しなければならない。その上で、患者が家族をはじめとする社会生活の中で、食を楽しみながら食事療法を実践・継続していくことを勘案すると、現時点では日本人がこれまで培ってきた伝統的な食文化を基軸にして、かつ現在の食生活の変化にも柔軟に対応していくことが重要である。また、日本人の糖尿病の病態が欧米化しつつある現在、日本人の病態と嗜好性に相応しい食事療法について継続的な検討が必要である。食事療法は実行され、継続できなければ意味をなさない。栄養素組成のみにとどまらず、食事療法の実践を促すマテリアルあるいはチームケアの在り方についても、さらに調査・研究を要する。

食事療法は、患者の病態・嗜好性に応じて、医師・管理栄養士などの医療従事者が患者と共に考え、それが有効かつ安全に実践されていることを常にモニターしていく必要があり、その中から、新しいエビデンスを構築していかなければならない。

(文献)

Nature Medicine
Obesity in mice with adipocyte-specific deletion of clock component Arntl

11 November 2012

分子時計構成因子 Arntl を脂肪細胞特異的に欠失するマウスでの肥満

脂肪細胞は過剰のエネルギーをトリグリセリドとして貯蔵し、貯蔵しているエネルギーの量を脳に伝達する。今回我々は、分子時計の核心的な構成因子をコードする遺伝子の Arntl (別名 Bmal1 )を脂肪細胞特異的に欠失させると、摂食の日周リズムの位相がシフトして、その結果肥満に至ることを示す。この遺伝子を肝細胞または膵島で欠失させても、肥満は生じない。食欲を調節する視床下部神経ペプチドの発現変化は、脂肪細胞から中枢神経系への摂食行動の時間を定めるフィードバックと一致している。脂肪細胞の体内時計の破壊は、脂肪細胞のトリグリセリドに含まれる多価不飽和脂肪酸の減少と関連している。変異マウスと野生型マウスとの間でみられるこのような差異は、循環血中の多価不飽和脂肪酸と、摂食を調節する視床下部ニューロンにおける非エステル化多価不飽和脂肪酸の濃度に反映される。

したがって本研究は、エネルギー調節の時間的組織化に脂肪細胞の時計が果たす役割を明らかにし、摂食のタイミングが脂肪細胞-視床下部軸の調節因子であることをはっきりさせ、また摂食のタイミングが体重に及ぼす影響を示している。

Science Daily
Aerobic Exercise Trumps Resistance Training for Weight and Fat Loss
Effects of aerobic and/or resistance training on body mass and fat mass in overweight or obese adults

Date:December 2012

過体重及び肥満者234名の中から119名を選出して、有酸素運動(AT)、筋トレ(RT)、有酸素運動+筋トレ(AT/RT)の3グループに分けて、それぞれの運動が8ヶ月の期間で体重・脂肪量・LBMに及ぼす効果を調べた。

RTグループに比べて、ATおよび AT/RTグループは体重と脂肪量は減少したが(P < 0.05)、両者間の差異は見られなかった。 ATグループに比べて、RTおよび AT/RTグループはLBMが増加した(P < 0.05)

AT単独に比較して、ATおよびRTを組み合わせると時間的には二倍だが、体重と脂肪量の減少に有意差が認められなかった。 本研究は、過体重や肥満者にとり、減量と脂肪減少には有酸素運動が最適であり、中年者のLBM向上には筋トレが必要であることを示している。

解説

有酸素運動グループの運動量は週平均133分で体重が減り、筋トレグループは週平均180分だが体重は有意に減少しなかった。筋トレグループに比較して、有酸素運動グループおよびAT/RTグループで体重が減った理由は、Science Dailyの解説記事では、筋トレすることでLBMが増えたからとされている。

しかし、アンダーカロリーではLBMは増えないことは通説であり、この説明は腑に落ちない。

因みに、“有酸素運動だけでは筋肉も減るので、筋トレが必要である” と本ブログでは指摘しているが、このことを裏付けるものではある。

有酸素運動と筋トレの両方を行ったグループでは、2倍の時間をかけ体重と脂肪は減少したものの、有酸素運動だけのケースより有意な減少は見られなかった。しかし、お腹回りの減少は最も大きかった。このことは二倍の運動時間が寄与したものと考えられるとしている。

アフターバーン(EPOC)とは、運動後の安静時にカロリー燃焼が高まることで、筋トレの方がアフターバーンは高まるというのが定説となっている。本研究の主要評価項目ではないが、筋トレをすることで脂肪減少や減量は有意に促進しなかったし、安静時代謝量の変化も認められなかったとしている。研究者は、健康増進にどの運動がベストとは言えないが、筋トレだけで減量や脂肪減少するという世間一般の通念を再考する時期かも知れないとコメントしている。

亦、運動タイプの推奨は年齢別に行われるべきで、筋委縮を蒙る高齢者には筋トレは有効であるが、若い人達や健常な成人或いは減量を目論む人たちには、有酸素運動がベターであると追記している。

結語として、『時間対健康効果の観点から、減量及び脂肪減少には有酸素運動がベストの選択であると考えられる。しかし、筋トレは良くないと云うことではなく、脂肪燃焼に最適ではないと云うことである』としている。

JAMA
Association of Weight Status with Mortality in Adults with Incident Diabetes

Date:August8 2012

糖尿病を発症した成人の体重と死亡率の関連性

標準体重(BMI<25)の成人に見られる2型糖尿病は、代謝的に標準体重型の肥満とされる代表的なもので、死亡率は明らかになっていない。
糖尿病の羅病期間と自発的な減量が死亡率へ及ぼす影響を最小限に抑えるために、新たに発症した糖尿病の成人の体重の状態と死亡率との関連性をテストする。

設計、設定、および参加者

5つの縦断的な前向きコホート研究のプール分析

男女併せて2625名(年齢>40歳)の糖尿病患者が被験者として、27125人年のフォローアップに貢献した。
被験者は、空腹時血糖値が126 mg / dl以上、または新たに糖尿病の薬物治療を始めた発症患者で、診断時には同時にBMI測定が行われた。
標準体重はBMIが18.5~24.99、過体重及び肥満はBMIが25以上とされた

主な測定項目

総死亡率、心血管系および非心血管系の死亡率

結果

糖尿病発症時に標準体重であった成人の割合は9%~21%(全体の12%)であった。
フォローアップ中に449名が死んだ:心血管系の原因が178名で、非心血管系が253名(18名は未分類)。
総死亡率、心血管系死亡率、および非心血管系死亡率は、過体重/肥満の被験者(10 000人年当たり各々152.1、67.8、87.9)に比べて、標準体重の被験者(それぞれ10 000人年当たり284.8、99.8、198.1)で高かった。
人口統計学的特性や血圧、脂質レベル、腹囲、喫煙などの危険因子を調整した後も、標準体重の被験者と過体重/肥満の被験者を比較したハザード比は、総死亡率2.08(95%CI、1.52~2.85)、心血管系死亡率1.52(95%CI、0.89~2.58)、および非心血管系死亡率2.32(95%CI、1.55~3.48)であった。

Weight training associated with reduced risk of type 2 diabetes
For immediate release

Date:Monday, August 6, 2012

2型糖尿病の予防についてのウェイトトレーニングの役割を調べる最初の研究であり、ウェイトトレーニングには有酸素運動から独立した大きなメリットがあることが分かりました。

これまでは2型糖尿病の予防には有酸素運動の重要性が強調されてきましたが、社会的/時間的な制約やその他の理由から、有酸素運動を行うことが難しい人達にとって、ウェイトトレーニングは貴重な代替エクササイズとなり得ます。この研究成果は、2012年8月6日にArchives of Internal Medicineオンラインで公開される予定です。

2型糖尿病は、公衆衛生上の主要な関心事であり増加傾向にあります。世界中で推定3.46億人が2型糖尿病を患っており、世界保健機関(WHO)によると、糖尿病関連の死亡は2005年および2030年の間に倍増すると予想されています。これら死亡の80%以上は低所得•中所得国で発生すると見られています。

1990年から2008年まで行われた“Health Professionals Follow-up Study”の男性32,002名を対象者として追跡調査した。2年ごとにアンケート方式で、各週ウェイトトレーニングと有酸素運動に費やした時間を記入させた。その他の身体活動、テレビ視聴、アルコール、コーヒー、喫煙、人種、家族の糖尿病の既往歴、多くの食事要因は研究者によってアジャストされた。

調査期間中に2,278件の糖尿病の新たな症例が見られた。調査結果は、中程度量のウェイトトレーニングでも2型糖尿病のリスクを減らすことができたことを示した。

対象者の週毎のウェイトトレーニング運動量を1〜59分、60〜149分、150分以上にグループ分けして、ウェイトトレーニングを行わないグループと比較したところ、それぞれのグループで 2型糖尿病のリスクは各々12%、25%、34%減少した 有酸素運動も2型糖尿病に有意な利点をもたらし、リスクは各々7%、31%、52%低減した。ウェイトトレーニングと有酸素運動を組み合わせると最大の利点を与えることがわかった。

週当たり有酸素運動150分以上+ウェイトトレーニング150分以上を行うと、2型糖尿病リスクは59%減少した。
女性に一般化することができるかどうは更なる研究が必要である。

本研究は、糖尿病のリスク低減には、従来は有酸素運動のみフォーカスされていたが、ウェイトトレーニングは有益な効果をもたらすという明確なエビデンスを示している。ウェイトトレーニングが有益である理由は、筋量アップとインスリン感受性の向上によるものであると見られている。糖尿病予防にベストな結果を求めるならば、レジスタンストレーニングと有酸素運動を組み合わせることであろうと研究者は言っている。

この研究は国立衛生研究所のサポートを受けて行われた。

Hunter-gatherers, Westerners use same amount of energy, contrary to theory

Date:July 25, 2012

Public Library of Science
祖先原始人 vs 現代人のエネルギー消費量

現代のライフスタイルは狩猟採集祖先とは明らかに異なっており、これがグローバルな肥満蔓延の原因であると主張されています。しかし、アフリカで伝統的に狩猟採集をしている現在のHadza族と欧米人との消費エネルギー量が同じであることが分かり、この主張に疑問を投げかけています。

PLoS ONEとは、米国ロスアンジェルスと英国ケンブリッジに拠点を置くPublic Library of Science社より刊行されているオープンアクセスの査読つきの科学ジャーナル誌で、科学と医学の一次調査の研究を扱っています。
July 25 2012付で “Hunter-Gatherer Energetics and Human Obesity” という面白い見方をする記事が掲載されているので、その内容骨子を紹介します。

2015年までに、世界中の3人にほぼ1人が過体重、10人に1人が肥満になると予測されています。過体重や肥満に伴う健康リスクとして、2型糖尿病、心血管疾患、および特定の癌がよく知られていることです。
体重増加の近因は、1日当たりのエネルギーのアンバランス(総消費量<総摂取量)であることは云うまでもないことですが、肥満の社会的な原因が相変わらず世界的な規模で、議論の焦点となっています。

欧米のライフスタイルは狩猟採集祖先とは明らかに異なっており、特に食事や活動レベルでの違いが、グローバルな肥満蔓延に関連していると云われています。ニューヨークのハンターカレッジのHerman Pontzer氏、アリゾナ大学のDavid Raichlen氏、及びスタンフォード大学のBrian M. Wood氏の共同研究チームは、アフリカのタンザニア北部のオープンサバンナで、狩猟採集で生活しているHadza族の毎日の総エネルギー消費量を、二重標識水法を用いて測定しました。
因みに、Hadza族は農業も営まず、狩猟収集の原始的な生活スタイルは数千年も変わらず、人類学者は、“遺伝子テストの結果では、彼らの生活は10万年前の原始人の生活にかなり近い可能性がある”と指摘しています。

この測定の結果、Hadza族は、野生の植物収穫及び狩猟(肉や魚)のために長距離をトレッキングしていることから、予想通り身体活動レベルは欧米人より大きいですが、体重、体脂肪率、年齢、性別の影響について分析したところ、エネルギー消費には有意な差異がないことが分かりました。
また、GPSデバイスを使って毎日の歩行距離(km/day)と、ポータブル呼吸計測システムを使用してウオーキングコスト(kcal kg−1 m−1)と安静時代謝率(kcal KG-1 S-1)を測定しました。
しかし、ウォーキングおよび安静時代謝コストも、Hadza族と欧米人の間で差異は認められませんでした。

この研究結果は、冒頭で述べた“欧米のライフスタイルがエネルギー消費の低減につながり、肥満の原因となっている”という現行の考え方に異議を唱えるもので、“人間の毎日のエネルギー消費は、文化の違いとは大きく異なる進化上の生理学的な特徴であろう”という仮説を唱えています。
換言すれば、この研究結果は、通常の代謝率が人間集団の間で比較的一定であることを示唆するもので、肥満の蔓延はエネルギー消費の低減によるものではなく、摂取量の増加に起因すると云う考え方を支持しています。

さわさりなりながら、身体活動(エクササイズ)の必要性を否定するものではなく、研究者はエクササイズが健康維持にとても重要であることを強調しています。実際に、Hadza族は欧米人よりも、日常のエネルギー消費枠内の大部分を身体活動に費やしており、年寄り層の健康と活力に貢献していると考えられます。このことは、われわれにとって特に非欧米の文明社会の設定下で、人間の生理と健康についてもっと学ぶことも必要ではないかということを示唆しています。

Faulty fat sensor implicated in obesity and liver disease

Date:February 19, 2012

肥満と遺伝子GPR120

“Dysfunction of lipid sensor GPR120 leads to obesity in both mouse and human”

京都大学辻本教授の研究チームの論文が、“脂質受容体GPR120の機能不全が、マウスおよび人間を肥満に至らしめる”というタイトル記事で、英科学誌「Nature」に掲載されました(2012年2月19日)。

遊離脂肪酸は重要なエネルギー源であり、各種の細胞プロセスのシグナル分子として作用する。
いくつかのG タンパク質共役型受容体は、生理学上や疾患における重要な遊離脂肪酸受容体として確認されている。
O3FAR1として知られるGPR120は、不飽和脂肪酸の受容体としての機能を有し、脂肪形成、食欲や食物嗜好の調整などの生理学的なホメオスタシスのメカニズムに重要な役割を持っている。

辻本教授らは、「GPR120」と呼ばれる遺伝子が欠損したマウスと正常なマウスに対し、脂質を多く含んだ餌と普通の餌を16週間与え続け、体重の変化などを比べた。

その結果、通常の餌では両者に違いは現れなかったが、高脂肪の餌の場合、欠損マウスは正常なマウスに比べて体重が平均15%増え、脂肪の量も2倍になった。更に、脂肪細胞分化や肝臓の脂肪形成が低減し、肥満、耐糖能障害、脂肪肝になった。
欧州で約2万人の遺伝子解析を実施したところ、GPR120の働きが悪い人は、正常な人の1.6倍も肥満になりやすいことも確かめられた。辻本教授は「GPR120は、人間と齧歯動物の脂肪の消費と蓄積のバランスを保つ管制塔役をする」と話している。